衆院議員・石破茂氏が寝台列車への愛を語り尽くす「1000回は乗った」政界きっての“乗り鉄”
私は酒が強い方ですが、それでも最終的には酩酊状態になって、フラフラしながら寝台の上段によじ登ってバタッと倒れる。すると、朝起きたら財布がないということが2回ありましたね。スリのプロというのはよく見ているのだそう。当時は自分のバカさ加減に愛想が尽きましたわね。
■乗ることで「蘇生」できた
ただ、その後、国鉄分割民営化に伴いJRになったことで、寝台券代も国から出るようになりました。すると、晴れて個室寝台に乗れるようになった。これはもう「夢」ですよ。なんと、個室にはVHSのビデオデッキがついている。それで映画を見まくった。「カサブランカ」とか「ローマの休日」とか。小津安二郎の映画も好きで、片っ端から見ましたね。個室ですから、酒を飲もうが、ビデオを見ようが、本を読もうが「俺の勝手だ」と。それはもう夢の10時間でした。
当時は当選2、3回で、東京でも地元でも頭の下げ通し。「疲れたな」「しんどいな」と思うことが多かった。ところが、寝台列車に乗ることでリセットし「蘇生」することができた。これがなかったら今の私はないというくらいに思います。「出雲」には1000回は乗りましたね。