野党議員も気にせず機密費を受け取り「礼状」まで書いていた
当時の議運委員長は「越智伊平」という苦労人。土建業者で政治のことは苦手で、すべて私に相談してきた。
6月11日から24日にかけ、「議運委」のメンバーで西独、オランダ、デンマーク、オーストリア、フランスを訪問した。参加者は田名部匡省、高村正彦(以上自民)、清水勇、阿部未喜男(以上社会)、近江巳記夫(公明)、中野寛成(民社)の理事と、谷垣禎一、自見庄三郎(以上、委員で自民)の9人の団員だった。共産党は参加しなかった。
越智委員長が野党対策にこだわり、議員の夫人を同伴させることになる。そこで野党議員夫人の費用を後藤田官房長官にねだり、通常の機密費に上乗せすることになる。この扱いについて私の日記には次のように記してある。
(六月九日)近江氏より電話あり「夫人同伴でマスコミからの追及で費用のことが心配」と。越智委員長に伝える 「各議員から百五十万円を君に預けたと『預り書』を渡せ」との指示。
要するに、夫人の旅費は機密費ではなく、野党議員が負担したという建前にするために、野党議員から150万円を「預かった」という書類を捏造するということだ。