超円安がもたらす狂乱物価の悲劇…大企業の売り惜しみが始まる?
米財務省は6月20日、為替政策報告書を公表。「為替操作監視対象」リストには、前回の報告書で対象となっていた中国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、台湾、ベトナムの6カ国・地域のほか、新たに日本が加わった。日本は4、5月に為替介入を実施したが、今後の為替介入に難易度が増せば、政策金利の引き上げしか打つ手がない。
農林中央金庫は、24年度中に米国債など10兆円を売却する方針という。当初予定よりも欧米の金利低下が遅れるとみて外債の損失を確定させる。10兆円のドル、ユーロの債券を円転なら円買い、円高要因である。外債を多額保有するGPIFや生損保など他の大手機関投資家も同調するだろうか。
日銀の政策金利の変動は、住宅投資にも影響を与える。変動型住宅ローン利用者の世帯年収は600万超~800万円以下が最も多く、固定金利選択型、金利固定型の利用者の世帯年収は400万超~600万円以下が最も多い。
いずれの金利タイプも融資率「90%超~100%以下」が最も多い。将来の「金利上昇」という観測自体が、住宅ローン利用者を生活防衛、消費抑制へ促す。景気は「気」だからだ。