「石破×トランプ会談」実現暗礁で透けるシゲル・パッシング…対米外交の前途にも暗雲
米通商政策のトップには強硬派が
いずれにせよ、早期の直接会談の実現は暗礁に乗り上げ、「ドナルド」「シゲル」と呼び合う親密な関係の構築どころか、「シゲル・パッシング」の感すら漂う。こうも相手にされないのでは、対日政策も見通しが暗い。トランプ政権の人事がネックだ。
「タリフ(関税)・マン」を自称するトランプは、輸入品に10~20%の関税を課す方針を掲げている。保護主義全開の通商政策トップに抜擢される見通しなのが、USTR(米通商代表部)の代表を務めたロバート・ライトハイザー氏。日本に対米貿易黒字の是正を求め、日本製鉄によるUSスチール買収に反対の立場だ。石破政権に関税引き上げをチラつかせ、何らかの「ディール」(取引)を持ちかけてくる可能性がある。
「トランプ氏はEVの補助金制度を廃止する見通しです。EV化の遅れが指摘される日本の自動車産業にとって勝機ではありますが、米国第一主義のトランプ政権は高関税を課してくるのではないか。日本の基幹産業は自動車の『一本足』。大事な産業を守らんとすればこそ、石破首相は真っ先にトランプ氏に対面するべきでしたが、悲しいかな、さほど相手にされていない印象です」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
トランプからどんな踏み絵を迫られるだろうか。手ぶらであろうとなかろうと、石破外交の前途は暗い。