鳥谷引退はひとつの時代の終焉…2000年代の阪神黄金期は遠くなった
今年も多くの選手が現役引退を発表した。中でも特に大物といえば、投の松坂大輔、打の鳥谷敬ではないだろうか。話題性という意味では斎藤佑樹の引退もひとつの時代の終焉を感じさせる。
プロ野球ファンの一人としては、もちろん平成の怪物と謳われた松坂大輔の引退には感慨深いものがあるが、私は古くからの虎党であるから、そこはやっぱり鳥谷引退にこそ特別な思いを馳せてしまう。阪神の生え抜きスター選手として長年活躍し、プロ野球歴代2位となる1939試合連続出場や通算2099安打など、数々の偉大な記録に彩られた華やかなキャリアだったが、最後は移籍先の千葉ロッテで、クールな男らしい静かな幕引きを選んだようだ。
昨年に藤川球児が引退し、今年は鳥谷が引退したことで、2000年代に2度のリーグ優勝を果たした阪神黄金時代の主力が全員ユニホームを脱いだかたちとなった。
ざっと名前を挙げると、投手がエース・井川慶、のらりくらり投法の下柳剛、安福コンビの福原忍と安藤優也、鉄壁のリリーフトリオJFKを形成したジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之。野手は不動の4番・金本知憲、悪球打ちの奇才・今岡誠(現・真訪)、スピードスター・赤星憲広、レギュラー外野手から代打の神様へと変容した桧山進次郎、強打の正捕手だった現監督の矢野輝弘(現・燿大)、そして黄金ルーキーから不動のショートに駆け上がった鳥谷敬……まさに多士済々の顔触れだった。