札幌五輪を“人質”にされ…中国人権問題に日本は沈黙、IOCにペコペコご機嫌取り
■招致決定の2023年までネガティブなことは…
ところが、日本の政府や関係者はこの問題に腰が引けている。岸田首相は「日本は日本の立場で物事を考えていきたい」と態度を明確にしておらず、日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は30日の会見で、中国の人権問題については逃げの発言に終始した。
その後、2日に山下会長は、「正しい判断だと思う」とWTAを支持する考えを示し、ようやくやや踏み込んでみせたものの、「日本は苦しい立場ですから」と、スポーツファンの菅野宏三氏(ビジネス評論家)がこう言う。
「札幌市は29日、札幌五輪の大会概要案を公表した。これまでより開催経費を900億円減らし、総額約3000億円以内としたが、五輪経費は招致前と実際とでは大きく異なるのは常。1972年以来、58年ぶりの札幌開催の意義もはっきりしない。市民、道民、国民が反対の声を上げなければ、国も札幌市も招致に突き進む。ライバルは、ソルトレークシティー(米国)やバンクーバー(カナダ)、バルセロナ・ピレネー(スペイン)、リビウ(ウクライナ)といわれている。招致決定は2023年。日本はそこまで国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の機嫌を損ねるわけにはいかない。日本が人権問題で中国に厳しい態度を取れば、北京五輪の成功を願うIOCは面白くないですから」