三笘薫を見いだした“川崎の目利き”が語る プロ契約までの紆余曲折とW杯8強への期待
11月に開幕するカタールW杯最終予選突破の救世主となったのが、ベルギー1部サンジロワーズ所属のMF三笘薫(25)。6月の代表強化マッチ4連戦では、ガーナ戦で1ゴール1アシストを記録するなど、森保ジャパンの主軸に成長したことを印象付けた。また4連戦の総括として「どのように攻めるのか、意識の共有とバリエーションが不足している」と発言。プレー以外でも「日本代表を牽引していくんだ!」という気概を感じさせた。史上初の「W杯8強以上」のカギを握る男を見いだした川崎・強化部の向島建スカウト(56)に聞いた。
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──三笘選手のジュニア時代の思い出は?
「薫は、本当に技術が高かった。ジュニアの頃は、ボールを持てば相手をかわしながら、一人で(相手ゴール前までボールを)持っていける子だった。将来、必ず『頭角を現すだろう』と予感させる選手でしたね。ユースを終えたとき、トップに上がれるレベルにありました。日本クラブユース選手権を見ていた人たちからも『そうそう出現する選手じゃない』『あんな(レベルの高い)ドリブルのできる選手なんて普通はいない』という評価を得ていました」
──トップとのプロ契約の話を持ちかけたときの三笘選手の反応は?
「こちらから『トップに上がらないか?』と持ちかけたのですが、薫の1学年上の三好康児(ベルギー1部アントワープMF)や板倉滉(ドイツ1部ボルシアMG・DF)が(ユースから)トップチームに上がっても、すぐには(J1の)試合に出られなかった。そういう部分も感じるところがあったのか、薫本人は『まだトップでやれる自信がありません。大学(サッカー部)に行きたい』という返答でした。本来ならユースの選手は、トップチームから声が掛かったらプロ契約を交わす──というのが自然な流れなのですが、もともと薫は進学したいという希望を持っていましたし、実際のところ、ちょっと線が細かったんですよ。筑波大から『ウチのサッカー部に欲しい』という話も来ていましたし、『しっかり育てて(卒業の際は川崎に)戻します』という話をいただきました」