野口みずきを「ストライド走法」に変えた チョコチョコ走りでは世界では戦えない
野口みずきは2003年8月の世界陸上が終わってから、翌年8月のアテネ五輪までマラソンは一度も走っていない。ただし、五輪に向けてのトレーニング目標として、毎月1回ハーフの大会に出した。フルマラソンに比べて疲れがあまり残らないからで、出場した4レースとも優勝し、記録も悪くなかった。元巨人監督の長嶋茂雄さんがスターターを務めた青梅マラソン30キロは日本最高記録(1時間39分9秒)で勝った。
アテネに向けて本格的なマラソンの練習を開始したのはレースの3カ月前。海外合宿は2回。標高約1900メートルの昆明と同2500メートルの麗江(ともに中国)で1週間ずつ交互で約1カ月。標高1800メートルのサンモリッツ(スイス)でも約1カ月行った。1350キロと1370キロを走った。これだけの距離を走り込んだのはこの時だけだ。
野口の身長は150センチ。ストライドはそれ以上だ。小柄な日本人のチョコチョコ走りでは、脚が長くスピードのある外国勢と戦えない。私の理想はフランク・ショーター(1972年ミュンヘン五輪金など)や中山竹通(88年ソウル五輪から2大会連続4位)のようなダイナミックなストライド走法だ。