元東映・ヤクルト大杉勝男 200HR偉業達成前に引退「この1本を皆さまの夢の中で打たせていただければ…」

公開日: 更新日:

 とはいえ、チーム内で浮いた存在ではなかった。仲間の信頼は厚くリーダー的存在でもあったし、他チームの選手にも優しかった。ある時、若手投手からデッドボールを受けた大杉のところに申し訳ないという顔でその投手が謝りに来た。すると大杉は「コラッ! そんな情けない顔をするな。大丈夫だ。それにしてもおまえ、いい球を放るなあ。これからも頑張れよ」と励ましている。

■両リーグ200号本塁打の偉業達成前に引退

 両リーグ200号本塁打こそ1本及ばなかったが、いずれも史上初となる同1000試合出場、同1000安打を達成する偉業を成し遂げて引退したのは83年。

「あと1本と迫っておりました両リーグ200本塁打、この1本を皆さまの夢の中で打たせていただければ、これにすぐる喜びはありません」

 引退試合で語った言葉も、強面な大杉の口から出たからこそ味がある。暴れん坊でいながら根っからのロマンチスト。まさに愛すべき存在だった。

(清水一利/ライター)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」