栄養指導のプロが指摘 減量目的の食事で「かえって太る」
肥満気味の人は、耳にタコができるほど「健康のために減量を」と言われていることだろう。しかし、2人の栄養指導のプロは「減量を目的にした食生活は、かえって肥満を招く」と口をそろえる。
「フーズアンドヘルス研究所」主宰の幕内秀夫氏(管理栄養士)は、ある事例を挙げる。
知的障害者の施設を運営する人から、相談を受けた。肥満が多く困っており、医師、栄養士から減量を目的とした食事指導を受けたところ、指導を受けた人の精神状態が極めて不安定になり、体重も増えてしまった。どうすればいいか―――。
「私が勧めたのは、おやつをまんじゅうなどの和菓子にすることです。食事の内容や体重には触れず、まずはそれから始めてくださいと言いました。結果、ほぼ全員の精神状態が安定し、体重も落ちました」(幕内氏)
■カロリー制限は不要
肥満大国・オーストラリアのクリニックなどで栄養指導を行う染原風生氏(管理栄養士)も、クライアント(患者)に対して「食事量を減らしなさい。カロリー制限をしなさい」とは言わない。指導の中心は「対策とマネジメント」だ。