ET-KINGいときんさんの命奪った肺腺がんには4つの治療薬
EGFRに変異があると、細胞増殖が止まらないと書きましたが、そこにブレーキをかける治療薬(EGFR―TKI)が開発されています。第1号のイレッサに続き、タルセバ、ジオトリフ、タグリッソで、現状では第3世代までの4つが健康保険で使用可能。第4世代の認可も間もなくです。
これらの薬剤の登場により、脳をはじめ全身に転移があっても5年以上生存する方が増えています。
従来、脳転移があると、脳全体に放射線を照射する全脳照射が行われたり、転移予防で手術後に全脳照射を併用したりすることがありました。
しかし、全脳照射をすると、正常な脳組織も放射線のダメージを受けるため、3カ月ほどで認知機能が下がるリスクがネックでした。
EGFR―TKIの登場で、日本肺癌学会のガイドラインが変わり、術後の全脳照射は併用しないようになりました。照射するなら、ピンポイント照射で、最初に照射してからEGFR―TKIを順次使い分けていくのがベストとされます。
抗がん剤は効かないといったイメージがありますが、そういうイメージは過去のもの。カギを握るのが遺伝子検査で、遺伝子チェックで効果的な薬剤を使えば、治療がうまくいく可能性があるのです。