乳がん<4>「強く推奨」となったハーセプチンによる術前薬物療法
と明記されています。
一緒に使われる抗がん剤は、主にドセタキセル、パクリタキセルなど「タキサン系」と呼ばれる薬で、がんの細胞分裂を阻害して増殖を抑える働きがあります。ハーセプチンもがん細胞の増殖を抑えますから、いわばダブル効果で敵を封じ込めるわけです。
2018年には、別の分子標的薬であるペルツズマブ(商品名パージェタ)が承認されたため、最近では3剤併用療法も広まっています。ただしまだエビデンスが少ないため、ガイドラインでは「弱く推奨」となっています。なおHAR2陽性乳がんには、ホルモン療法があまり効かないので、併用することはあまりありません。
ハーセプチンの投与期間は、術前・術後合わせて1年間とされています。たとえば術前に抗がん剤と一緒に3カ月投与したとすると、術後さらに9カ月間、ハーセプチンを使い続けるわけです。
ハーセプチン自体の副作用は弱めなのですが、一緒に使う抗がん剤には、吐気や脱毛その他の副作用があるため、ひとによっては辛い治療になるようです。