上場企業の早期・希望退職募集が2カ月で昨年超え…「黒字のうちにリストラ」が顕著に
上場企業が募集した「早期・希望退職者」の人数が、今年に入ってわずか2カ月で昨年1年間の人数を超えてしまったことが分かった。現状ペースなら、3年ぶりの年間1万人突破の可能性がある。
東京商工リサーチが6日公表した調査によると、今年1~2月に「早期・希望退職者」を募集した上場企業は14社で、前年同期(9社)より5社増えた。対象人数は3613人。前年同期(595人)の6倍に拡大し、昨年の年間実績(3161人)を早々に上回ったという。14社中9社が黒字企業だった。
「2カ月で昨年分を超えたのは、オムロンや資生堂が1000人以上募集するなど、大型化したためです。人手不足は加速していますが、コロナ禍が収束し、構造改革の機運が再び高まってきた。黒字企業でも『体力のあるうちに』という募集が顕著です」(東京商工リサーチ情報本部)
生産性向上を掲げる政府が人材流動化を旗振りし、リスキリング(学び直し)によるキャリアアップ支援や転職支援を予算化して後押ししている。そのため「企業にとって黒字リストラを実施しやすい環境ではあるでしょう」(同前)。