3大会連続メダルに貢献 世界一の名セッターは底なしの酒豪
1964年東京五輪・銅、メキシコ大会・銀、ミュンヘン大会・金 男子バレー猫田勝敏さん
1964年東京オリンピックから、68年メキシコ、72年ミュンヘンまでの3大会で、まるで階段を駆け上がるように銅・銀・金のメダルを獲得。世界の頂点に立った日本男子バレーボール――。
日本チームを牽引したのが“世界のセッター”と称された猫田勝敏だった。だが、彼の人生はあまりにも短かった。83年9月4日、40歳を迎えることなく、妻子に見守られながら泉下の人となった。死因は胃がん。底なしの酒豪だったと伝えられている。
猫田が眠る広島市にある教徳寺。80歳を迎える直前の1月、亡き仲間の鎮魂の旅に出た、64年東京オリンピックのチームメートの菅原貞敬は、法名「厳顕院釋勝行」を前に両手を合わせた。猫田との思い出を語る。
「猫田にとって最後のオリンピックとなったモントリオール大会前だね。合宿先を訪ねた際、同じ部屋に泊まったんだが、朝方だった。『ドーン!』と音がして、とび起きたら『菅原さん、こうして一度ベッドから落っこちないと立てないんです』と。話を聞くと激痛が走るほど足腰が悪くなっていると言う。私の『病院に行け!』との言葉に『チームに迷惑はかけたくない』とね。責任感が強く、練習を休まない男だった」