石原藤樹
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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

フィンランドがワースト 認知症はなぜ寒い国に多いのか

公開日: 更新日:

 高齢化に伴って、認知症が深刻な社会問題となっているのは、先進国共通の現象です。しかし、実は認知症には大きな地域差があります。

 2016年のWHOの統計によると、世界で最も認知症で死ぬ人の比率が多いのはフィンランドで、1年間に人口10万人当たり53人以上が認知症で死亡しています。次に多いのがアメリカで45人以上。3番目がカナダで35人以上です。日本は多いというイメージを持たれる方が多いかも知れませんが、実際には58位でフィンランドの12分の1以下なのです。

 認知症で亡くなる人の多い国を見ると、フィンランド、アイスランド、スウェーデンと、ヨーロッパの寒い国が並んでいます。認知症はなぜ寒い国に多いのでしょうか? その理由は不明ですが、いくつかの可能性が考えられています。寒い地域で湿気が多いとカビが室内で発生しやすく、カビの感染が神経細胞への毒性を持って、認知症に結び付くのではないか、という説があります。

 また、北欧の湖や海に繁殖している藻の一種が、神経への毒性を持っていて、魚を食べる時にその成分が吸収されてしまうのでは、という説もあります。さらには土に含まれるセレンという金属の不足が、影響しているのではないか、という説もあるようです。

 いずれもまだ仮説なのですが、寒い国に認知症が多いという現象は興味深く、今後認知症と環境との関係が、明らかになる日が来るかも知れません。

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