都道府県でも違う 自殺が多い県少ない県は実像を表しているか
警察庁と厚労省では、全国の総自殺者数が異なっているだけではない。都道府県別の自殺者数も違っている。というのは、警察の統計は遺体が見つかった場所に基づいているからだ。
検視や遺体の保管、遺族への聞き取り、必要なら捜査といったもろもろの仕事を担当するのは、現地の県警と決まっている。そのため警察にとっては、現場中心の統計は、むしろ当然と言える。
一方、厚労省の統計は、自殺者の住所が基本になっている。人口動態という視点に立てば、住民票が基本になるのは当然で、その意味で厚労省の統計にも合理性がある。 では実際に、どのくらいの違いがあるのだろうか。前回書いたように、両者の統計の取り方には違いがあるのだが、細かいところには目をつぶって、2019年の人口10万人当たりの自殺者を計算してみよう。するといくつかの県では、かなり大きく異なっていることが判明した。数字の違いが目立つ県をまとめると、次のようになる。
●警察庁(厚労省)
全国平均…16・0人(15・7人)
山梨県…22・4人(17・0人)