尾上泰彦
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尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

【細菌性腟症】腟内善玉菌が減ると発症し灰白色のオリモノが

公開日: 更新日:

「腸内フローラ」や「口腔内フローラ」という言葉を聞いたことがあると思います。

「フローラ」を直訳すると「お花畑」ですが、腸内や口腔内で使われるフローラは細菌の集団を意味する「細菌叢(そう)」のことをいいます。顕微鏡で観察したとき、細菌叢が色鮮やかなお花畑に見えたことからそう呼ばれているのです。

 細菌叢はさまざまな常在菌の集まりで、そのバランスを取ることで外部からの病原体の侵入や定着を防いで健康状態を保つ役割をしています。常在菌には増えすぎると害を及ぼす細菌(悪玉菌や日和見菌)もいますので、そのバランスが大切なのです。

 実は、女性の腟の中にも「腟内フローラ」があり、非常に強い自浄作用が働いています。その細菌叢の中でも75~95%を占めるとされるのが「デーデルライン乳酸桿菌(かんきん)」(ラクトバチルス属)です。いわゆる「善玉菌」である乳酸桿菌は、腟内に多く存在するグリコーゲンを栄養源として乳酸を産生し、腟内をpH(ペーハー)4.5以下の酸性に保つことで雑菌の侵入を防いだり、他の常在菌の増殖を抑えています。

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