観光業界で仁義なき「人材の奪い合い」勃発! 今年度の訪日客は過去最高の3500万人
同時に政府は30年には訪日客数を6000万人、消費額15兆円という目標をぶち上げている。そのためには高級ホテルの進出は欠かせないのだろうが、先の瀧澤氏がこう指摘する。
「一流ホテルほど経験値の高い人材を揃える必要があります。ところが高級ホテルほど人手不足が深刻で、採用しても現場に慣れるまでには少なくても3カ月はかかる。私はこの間は高級ホテルでも新築ホテルには行きません」
また、ホテルの人材争奪戦は周辺の他業種にも影響を与えていると次のように言う。
「新しいホテルの周辺にできる商業施設は、ホテルより高い賃金で求人募集しています。上げなければ人が集まらないんです」
■特定技能外国人に注目
まさにホテル内外で仁義なき人の奪い合いが行われているのである。こうした人手不足が深刻化するなか業界から注目されているのが、特定技能外国人の採用だ。東急グループでは52人の外国人を初めて採用している。
「タイなど東南アジアからの訪日客が増え、英語だけではなく他言語の必要性が増えています。特定技能外国人の採用は接客も有利になり、マネジャーが外国人というケースや、外国人を正社員化するホテルも出てきています」(瀧澤氏)
東京商工リサーチによると23年の新設旅行・宿泊業は1560社と前年(981社)の59%増加した。観光業界の人材確保はさらなる熾烈な競争が避けられない。
(木野活明/ジャーナリスト)