奥田経団連が自画自賛した2年後の2008年、派遣労働者は真っ先に切られ40万人が失業
■リーマン・ショックによる経済危機で「派遣切り」が続出
ところが08年から09年にかけて、状況が一変する。リーマン・ショックによる経済危機が訪れたのだ。企業は派遣労働者を雇い止めにする「派遣切り」で乗り切ろうとし、職を失った人たちが街にあふれた。派遣労働者と請負労働者の失業者は40万人という試算を、派遣会社などでつくる業界団体は出した。
当時、派遣切りに遭った人たちを名古屋市内で取材した。ある中年男性は、同じ境遇の友人ができて、共にネットカフェやサウナを転々としながら就活をしていた。公園での炊き出しを利用していたのだが、ふとその友人とはぐれてしまった時があった。「どこに行ったんだろう」と言って不安な表情をしていた。
名古屋にはあの時、職を失った人が全国から流れ着いた。「なぜ名古屋なんですか」と尋ねたことがある。返ってきた答えはこうだ。
「トヨタのお膝元なら何か仕事があるかと思って」 (=敬称略、つづく)