笑うより効果的? 「泣いて元気」になる脳のメカニズム
「泣いたら負け」「涙を流すのはみっともない」――。そう信じ、どんなにつらく苦しくても人前で表情を変えずにこの一年間耐え忍んできた人も多いのではないか。そんな人は年末休みの間に一度くらい声を上げ泣いてはどうか。涙はストレスを解消するだけでなく心と体を元気にしてくれる。
「笑いは健康に良いといわれていますが、泣くことはそれ以上の効果があるとの報告があります」
こう言うのはサラリーマンの病気に詳しい、弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長だ。
笑いの効果については大阪国際がんセンター(大阪・中央区)が吉本興業などの協力を得てがん患者を対象にした本格的な実証研究を行うなど、多くの研究が進んでいる。その「笑い」より「泣く」方が体に良い、とはどういうことか。
その根拠のひとつとされているのが東邦大学医学部の有田秀穂名誉教授の研究だ。
「日本薬理学雑誌」(2007年)に発表した論文によると、「泣くビデオ」「笑いのビデオ」などを各30分見せて、前頭前野の血流変動などを調べたところ、笑いは、泣きに比べて血流変動の程度が弱く短時間であった。その後の心理テストから「号泣」は脳全体をリセットし、スッキリさせる効果があったが、笑いは元気にはしてもそこまでの効果は得られなかった。