笑うより効果的? 「泣いて元気」になる脳のメカニズム
「つらい、悲しいなど感情が揺れると、その刺激が脳の中の目の奥にある視床下部に伝えられます。そこは自律神経の司令塔で、緊張や興奮を促す交感神経とリラックスや安心を促す副交感神経のバランスを取り内分泌機能も調整します。視床下部が刺激されると副交感神経が優位になり、その働きで涙腺が刺激され涙が出るのです。つまり、泣くという行為は交感神経が優位の緊張した状態から、副交感神経が優位のリラックスした状態に一気に変わったということなのです」(林院長)
■情動の涙を流す
逆にいえば泣きたいときに我慢することは緊張状態を長引かせ、ストレスをため込むことであり、泣くことはストレス状態が解消され、リラックス状態になるということだ。
泣いた後には、脳内ホルモンのひとつで、モルヒネと同様の働きをするとされるエンドルフィンが増加するといわれている。
エンドルフィンには強い鎮静効果があるため、ストレスを解消してスッキリ感をもたらしてくれるらしい。
ただし、涙には目を潤す「基礎分泌による涙」のほか、ゴミが目に入ったときに出る「反射の涙」と脳がストレスを感じたときに流す「情動の涙」がある。ストレスを解消するには「情動の涙」が必要だという。同じ涙でも成分が微妙に違うからだ。