【緑内障治療】タフな視神経をつくり 視機能障害を改善
「スペルミジンは長寿の人の腸でたくさん見つかります。細胞の中の古くなったゴミを処理するオートファジーの働きを活性化するなどして視神経保護に役立っています」
最近は、マウスを1日おきに断食させることで網膜神経細胞死が抑制されることも分かっている。
「OCTで確認し、多局所網膜電位測定により、視機能障害も改善することが確認されました。人間の場合はカロリーを3割減らすことで同じような効果が期待できると考えています」
つまり、緑内障の治療は「眼圧を下げる」以外に、「視神経保護作用のある薬や食品」「カロリー制限」を追加することで、さらに高い治療効果を得られる可能性があるという。
最近は神経細胞でしか働かないDock3というタンパク質に着目。本来は再生しないはずの視神経を伸ばす研究も進めているという。
不治の病である緑内障治療に光が見えてきた。
▽1992年北海道大学医学部卒。東京都神経科学総合研究所分子神経生物学研究部門部門長、東京都立多摩総合医療センター眼科非常勤医師などを経て現職。徳島大学大学院医歯薬学研究部眼科学分野客員教授兼任。〈所属学会〉北米神経科学会、日本眼科学会、日本緑内障学会、日本神経眼科学会など。