“20日で1万本”のハゲ治療 革新技術をベンチャー社長に聞く
画期的なハゲ治療の実用化が近づいている。理化学研究所とベンチャー企業による研究グループが、毛髪を生み出す根元の器官「毛包」を体外で増やして移植する技術を開発した。20日間ほどで髪の毛1万本に相当する約5000の毛包を作り出せるという。
4日会見した理研の辻孝チームリーダーらは、安全性を確認する動物実験を7月から行うと発表。年内に終え、問題がなければ男性型脱毛症(AGA)を対象とする毛髪再生技術の臨床研究を大学病院で行う方針だ。
■2020年に実用化?
偉業に王手をかけたベンチャー企業は、2008年に設立された「オーガンテクノロジーズ」(神戸市)。資本金は約1.1億円で、従業員はわずか14人(17年5月末現在)だ。会見で「当面は(健康保険適用外の)自由診療で2020年以降の実用化を目指したい」と戦略を語った杉村泰宏社長(39)は京大経済学部卒で、外資系証券出身だという。日刊ゲンダイの取材にこう自信を見せた。
「これまでの技術と全く違うのは、毛髪の絶対数を増やすことです。従来は後頭部の毛髪を脱毛部分に移植しているだけでした。今回の技術では、まず患者の毛髪を採取して、それを培養し、数を増やして植毛することで、毛髪の絶対数を増やすことに成功しました。今回はマウスを用いた非臨床試験を開始しました。この試験で安全性や有効性が明らかになれば、19年にはヒトへの臨床試験を開始して、早ければ20年には一般の方々へサービスを提供できます」