<13>コロナの感染力は高まるも毒性は変化せず 変異に注意

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの流行初期は、スパイクタンパク質の614番目はアスパラギン酸というアミノ酸であった。しかし、それがグリシンという別の種類のアミノ酸へと変化した変異ウイルスが、今年の1月下旬に中国とドイツのサンプルから発見されている。その変異を持ったウイルスはヨーロッパで爆発的に増加し、世界各地に広がった。実際、2020年5月の時点ではゲノム配列が解読されている新型コロナウイルスのおよそ7割はこのアミノ酸置換がある変異体ウイルスである。日本も例外ではなく、現在の報告されている新型コロナウイルスの配列はこの変異ウイルスが主である。

 この変異した新型コロナウイルスは、オリジナルのものと比較して、細胞での増殖能力が向上し、患者由来の上気道(鼻・口・喉など)検体からのサンプルでもウイルス量が増加している傾向があったとの報告があった。別な研究グループも、この変異ウイルスは3~9倍ほど感染効率が上昇していると報告した。また、614番目のアミノ酸はS1サブユニットにあり、S2サブユニットとの相互作用に関与している。614番目のアミノ酸がグリシンに変化することにより、S1とS2の相互作用がより強固になるため、感染力を維持できるのだろうという報告もあった。ただし、いずれの研究グループも、このウイルスの変異が症状の悪化や、免疫からの逃避などに関連するようなデータは出ていないと報じている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大逆風の田中将大まさかの〝浪人〟危機…ヤクルト興味も素行に関する風評が足かせに

  2. 2

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 3

    楽天・田中将大の二軍テスト続行を明言…“外様”今江監督ならではの「常識的判断」

  4. 4

    「(菊池雄星を)高1で超えてやる」 天性の負けず嫌いが花巻東に進学した“本当の理由”

  5. 5

    斎藤元彦知事&代理人弁護士「時間差会見」のあざとさ…二人揃ってPR会社美人社長をバッサリ切り捨て

  1. 6

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 7

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  5. 10

    斎藤元彦知事代理人の異様な会見…公選法違反疑惑は「桜を見る会前夜祭」と酷似、期待されるPR会社社長の“逆襲”