ベッドでは「眠る」以外の行動をしてはいけない
なかなか寝つけない、しっかり熟睡できない……といった悩みを抱えて睡眠外来を訪れた方には、まず「ベッドでは『眠る』以外の行動をしない」ことを実行してもらいます。これが、睡眠の質を高めるための最初の一歩になるのです。
ベッドに入ってから読書をしたり、音楽を聴いたり、スマホでSNSのチェックをしたり、ゲームをして、眠くなってきたらそのまま就寝……といった行動をしている人がたくさんいます。しかし、この習慣が睡眠の質を下げてしまいます。
われわれの脳には、次の行動を予測して準備をする「フィードフォワード」という仕組みがあります。たとえばベッドで読書をすると、脳は「ベッドで文字を読んだ」という記憶をもとにして、次にベッドに入ろうとするときになるべく文字が読みやすくなる態勢を整え、準備して臨みます。スマホをいじったり、音楽を聴いたときも同じです。
脳には「場所」と「行為」をセットで記憶する仕組みもあるので、ベッドで眠りに関係ない行動を続けていると、ベッドに入ってもなかなか寝つけなくなってしまいます。脳が「ベッド=作業する場所」と記憶してしまうからです。