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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ホンダがEVで本気になった!新型N-VAN e:はサクラとほぼ同額で電池容量1.5倍がスゴい

公開日: 更新日:

ホンダN-VAN e:(車両価格:¥2,699,400/税込み~)

 正直、日本のバッテリーEVは高すぎる。リッチな海外ならともかく、ビンボー化の進む日本で500万円クラスのEVはなかなか普及しない。事実、2023年の国内EV販売は増えたとはいえ8万8000台レベルで、乗用車全体のわずか2%台。普通に20%を超える欧米とは勢いが違う。

 そんな中、23年国内EVの約半分を占めたのは本格軽乗用EVの日産サクラで3万7140台。24年に入って諸事情あって台数が落ちてるとはいえ、日本でEV普及させるなら電池が小さく安くて済む軽がいい。続くのはどこよ? と思ってたら先日ついに出ましたホンダN-VAN e:が。

 最大のキモは価格だ。例えばサクラは普及価格帯のXが259万円強。コイツに国の補助金55万円と、場所で変わるが自治体の補助金を加えると100万円以上。もちろんこれは購入後に申請しないと確実に受け取れないし、補助金切れの心配もあり、その後すぐに売却すると補助金の一部を返さなければいけない。

 とはいえ、実質コミコミ200万円切りで買えるのだ。これくらいでやっと普及価格帯のバッテリーEVだと言える。

電池容量はサクラが20kWhに対してN-VAN e:は29.6kWh

 かたやホンダN-VAN e:はその車名の通り、2018年に出た商用軽スーパーハイトバンのEV版だ。商用ってところが普及に向かない気がするかもしれないが実は逆。

 ビジネス用の方が用途やエリアが限定され、充電にめどが付く。しかも電気代はガス代より安いので元も取れる。EV普及の現実的な策なのだ。

 肝心の価格だが、N-VAN e:は後述するユニークな4グレード構成で、普及仕様のL4が269万円と、サクラXより10万円高い。しかし肝心の電池容量がサクラが20kWhのところ、N-VAN e:はなんと約1.5倍の29.6kWh。背が高いぶん航続距離は効率が落ちるが、サクラがWLTCモードで180kmのところ245kmとかなり長い。

 これなら電費の落ちる冬の東北地方でも、荷物を沢山積んで確実に100km以上走れるそうで、業務用はもちろんプライベートで使うにも十分。

 当然補助金はサクラ同様なので200万円を切り、それ以上に広く距離も稼げる軽EVとなるわけだ。

価格、走行距離的に買って十分に元が取れる

 しかもN-VAN e:はガソリン版と室内の広さがほぼ変わらない。ホイールベース長ではクラス1のN-BOXの骨格を使い、1.9m台の車高にしてるからとにかく広い。さらに助手席ピラーレス構造が凄く、乗り降りは超楽チンで、子供が立って着替えられるだけでなく、楽勝で寝転がれる。

 面白いのはボディタイプだ。一般的に買い安いのは4人乗りで軽ターボレベルの64psモーター搭載の前述L4と、内外装を少し乗用車チックにしたFUNの2種類。

 だが業務用のリースでGとL2があり、これがなんと1人乗りに縦2人乗り仕様なのだ。相当割り切っていて助手席側はシートがない分床が低くなるだけでなく、助手席側エアバッグも要らないので長さも稼げる。本当にザ・シンプルな軽EV。

 もちろん、今回グリルに再生リサイクル樹脂を使ったり内装をさらに素っ気なくしていて、乗用車的にファミリーで使うには厳しめかもしれない。

 だが硬すぎて不評だった運転&助手席シートを一新して質を上げたり、インパネもシンプルながらに再設計。割り切って「車中泊軽EV」や「キャンピングカー」、バイクを積んだりする「遊び用運搬EV」には最適かもしれない。

 なにより価格、走行距離的に買って十分に元が取れる“ホンダ流の本気EV”と見た。

 趣味人たちよ、ぜひマジメにチェックして欲しい!

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